知ってる?のどを守る「舌」の本来あるべき位置
以前書いたコラムで、「舌」は咽(のど)と喉(のど)を守ってくれる力強い味方だとお伝えしました。
しかし、その「舌」は本来あるべき場所に、あるべき状態でないと、十分な役割を果たしてくれないのです。
舌のあるべき場所
上の前歯の裏の付け根に舌先を置いてみてください。
そして、舌を奥の方(のどちんこ方面)に少しずつ滑らせてみてください。
最初に少し出っ張っているなめらかな部分があり、その後ろに凸凹(でこぼこ)した質感の場所があると思います。
最初の少し出っ張っている部分が終わるあたりの箇所、そこを「スポット」と呼びます。
スポットこそが、舌先を置く場所だと言われています。
次に、スポットに舌先を置いたまま、舌全体を上あごにやさしく沿わせて密着させます。
これが、本来あるべき安静時の舌の形です。
いかがでしょう?
いつもとあまりに違う舌の状態に慣れなくて、むず痒い感じがしないでしょうか?
しかし、のどが渇いていないことにも気づきませんか?
次は、舌だけでなく「安静時の理想の口(の中と周辺)」を詳しくお教えしていきたいと思います。
安静時の理想の口
前述の通り、スポットに舌先を置いたまま、舌全体を上あごにやさしく沿わせて密着させるのが、安静時の舌の理想の状態です。
次に、舌を上記の理想の状態にしたまま、上の歯と下の歯がどこも触れていないか(つまり噛み締めていないか)チェックしてください。
そして、噛み締めていないことを確認した上で、口を閉じてください。
グッと閉じるのではなく、上唇と下唇をやさしく触れ合わせる(くっつける)感じです。
はい、出来上がり!
鏡で顔を見てみると、きっと「すました表情」人によってはちょっと「とぼけたような表情」に見えるかもしれません。
これこそが理想の口の中&周りです。
以後、これを「リラックスの口」と呼ぶことにします。
口を閉じると息苦しい!
「リラックスの口」を実行してもらうと「いっ、息苦しい!」と訴える生徒さんがたくさんいらっしゃいます。
そのような方々は、鼻からではなくいつも口から呼吸しているのでしょう。
そのような方々のほとんどは、普段口を開けて生活しているのだと思われます。
以前こちらでもお伝えしましたが「のどが弱い」「すぐにのどが痛くなる」という悩みを抱えていらっしゃる生徒さんのほとんどが、普段鼻からではなく口から呼吸しています。
人間はもともと鼻呼吸
ところで、私は二人の子どもを出産した経験があります。
そして、二人とも母乳で育てたのですが……
実際授乳してみて驚いたことに、赤ちゃんは何時間も乳首に吸い付いたまま、母乳を飲み続けるのです!
息継ぎ(ブレス)のために、いったん乳首から離れるということはしません。
つまり、哺乳類である人間の赤ちゃんは、鼻から呼吸するように設計されて生まれてきているのです。
では、口で呼吸している人は、一体いつから鼻呼吸から口呼吸に切り替わってしまったのでしょうか?
最後に
今回ご紹介した「リラックスの口」に、ぜひ挑戦してみてください。
食べる時、しゃべる時、歌う時以外は、いつも「リラックスの口」をおすすめします。
そうです、寝る時もです。
最初はすぐに意識することを忘れてしまい、口がぽかんと開いてしまっていることに気付くかと思いますが、諦めずに粘り強く続けてみてください。
この新しい習慣が、きっとあなたののどを守ってくれるはずです。
次回は、「リラックスの口をしたくても、鼻が詰まっているので息苦しくてできません!」という方のために、鼻呼吸と口呼吸のお話しをしたいと思います。
ライタープロフィール
ボイストレーナー
相馬りえ
シンガーソングライター/ボイストレーナー。
ドラマーの娘と夫の3人で結成した家族バンド「かねあいよよか」でギターボーカルを担当。
メンバー全員が作詞作曲、ボーカルを務める。
自宅1階には、レコーディングやバンドリハーサルに対応した15畳のプライベートスタジオを構える。
職業はボイストレーナー他に、新聞や広報紙などの取材記者と、観光情報Webサイトのライター。
食生活アドバイザーの資格を有する、7歳の娘と4歳の息子の母。
■体が目覚めるボイストレーニング Webサイト
■かねあいよよか Webサイト
ウェブサイト:http://kaneai.jimdo.com