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【女性向け】ミックスボイス(ミドルボイス)習得に役立つ練習曲
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【女性向け】ミックスボイス(ミドルボイス)習得に役立つ練習曲

ミックスボイスというワード。

歌に興味のある方ならどなたでも一度くらいは耳にされたこと目にされたことがあるでしょう。

僕のボイストレーニングの受講生さんの中にも「ミックスボイスをできるようになりたい!!」と要望を持っている方がたくさんおられます。

でも、意外にそれが実際どんなものなのかを理解している人は少ないように感じます。

ではミックスボイスって一体なんなのか?

簡単に言ってしまうと「地声と裏声の間の声」なんですよね。

だから別名、ミドルボイスと呼ばれたりもします。

実際の曲中での使われ方としては、主に地声では出すのが難しいハイトーンの領域をカバーするために使いますが、地声と裏声のミックス度合いのバランスを変化させることで、さまざまな歌唱表現が可能になります。

今回の特集記事では、そんなミックスボイス(ミドルボイス)を上手く使って歌を表現されている女性シンガーを集めてみました。

きっと皆さんがご自身でミックスボイス習得を目標に歌われるときに参考にできる部分が多いかと思います。

ぜひお役立てください。

【女性向け】ミックスボイス(ミドルボイス)習得に役立つ練習曲

With幾田りら

YOASOBIのボーカル、ikuraさんとしてもご活躍中のシンガーソングライター、幾田りらさんの配信限定シングルで、2023年10月リリース。

主演に二宮和也さん、ヒロインに波瑠さんを迎えて映像化された映画『アナログ』のインスパイアソングとして制作されたそうです。

元来、そのステキなハイトーンボイスが魅力の幾田りらさんですが、このスローバラードの楽曲でも、地声、ミックスボイス、ファルセットを見事に使い分けて、とても魅力的な歌唱を披露されています。

楽曲冒頭のスキャットのように歌われているところやサビの中高音部分などで、ミックスボイスを使われていると思われますので、ミックスボイスの習得を目指す皆さんは、ぜひチャレンジしてみてください。

幾田りらさんの歌唱はそんなにミックスボイスが目立つものではありませんが、一曲を通してスムーズに発声を切り替えて歌う練習をするには最適な一曲だと思います。

息の使い方が乱雑にならないように丁寧に歌ってくださいね。

Kei Takahata

マジックアワー緑黄色社会

緑黄色社会の通算7作目のシングルで、2023年8月リリース。

フジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』挿入歌に採用されています。

この楽曲でのボーカルの長屋晴子さんの歌唱ですが、サビパートの一瞬、少しボーカルメロディが高音になるところを中心に、ファルセット寄りのミックスボイスを効果的に使って歌われているものと思われます。

通常のファルセットボイスなら、声を鼻腔に当てるように発声しますが、この楽曲の該当箇所では、発声はファルセットのようにしつつも、声を上顎に広く当てるようにして練習してみてください。

きっとご本人のような、とてもソフトでも高次倍音成分の多いミックスボイスを出せるようになりますよ。

Kei Takahata

それを愛と呼ぶならUru

Uruさんの通算12作目のシングルで、2022年6月リリース。

TBS系列日曜劇場『マイファミリー』の主題歌に起用されていました。

ミックスボイスという発声、なかなかその定義が曖昧なものなので、楽曲中の「ここ!」と特定するのは難しいのですが、このスローバラードの中で、UruさんはAメロパートやBメロパートなどの中高域は地声寄りのミックスボイス、サビパートは地声寄りのミックスボイスからファルセット寄りのミックスボイスまで、多彩な発声を見事に使い分けて歌唱されているものと感じました。

間奏明けの地声のハイトーンで歌われている部分とのコントラストなどに着目して聴いてみてください。

多彩なミックスボイスの使い方の参考例として、とても役に立つでしょう。

Kei Takahata

都落ちヨルシカ

ヨルシカの楽曲で2023年4月リリース。

さて、この曲のミックスボイスですが、Aメロパート等を中心に頻繁に出てくる一瞬音程が高くなるところを中心に非常に効果的に使われていて、フッと抜くような柔らかい高音を表現されています。

これもまた通常のファルセットのように鼻腔共鳴を使ったヘッドボイスではなく、声をできるだけ広く上顎全体に当てるようにして練習してみてください。

ミックスボイスが使用されている箇所がとても短いので、発声のスムーズな切り替えの練習にも役立つ一曲だと思います。

Kei Takahata

紙一重Uru

Uruさんの4作目デジタル配信シングルで、2023年4月リリース。

TVアニメ『地獄楽』のエンディングテーマに採用されています。

とてもしっとりとした美しいバラードソングに仕上げられていますね。

このバラード曲の世界観を表現するのに必要不可欠な役割を果たしているのが、Uruさんのミックスボイスを存分に駆使した歌唱にあるのではないでしょうか。

筆者がこの曲を聴いた感覚ですが、Uruさんは、この楽曲の大部分をミックスボイスを使って歌われているのではないかと思います。

ミックスボイスというワード、比較的定義が曖昧な言葉なんですが、筆者的にはチェストボイスもヘッドボイスも使わず、その中間程度の響きを持たせた歌声という感じで認識しています。

それでいくと、Uruさんはこの楽曲のAメロパートなど、比較的低い音域のパートでも声を上顎に当てるようにして、あえてチェストボイスは使わずに柔らかくクリアな響きを確保されています。

そうしておきながら、サビの導入部の歌唱では力強い地声の高音を使って、楽曲を非常にドラマティックに演出されています。

曲中でのご本人の声質の変化に注目して、よく研究した上で練習してみてください。

ミックスボイスの練習曲としての難易度は少し高めだと思いますが、きっと得られるものはたくさんあると思います!

Kei Takahata

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